元墨出し屋が語る、
建築測量のリアルな世界
— 10年ぶりに現場復帰して思ったこと
私は21歳から30歳まで、建築測量——いわゆる「墨出し屋」をやっていました。 完全未経験からこの世界に入り、最終的には自分で現場を持ち、手元を連れて仕事をする立場まで成長しました。
先日、知り合いの会社から声がかかり、約10年ぶりに墨出しのアルバイトをしました。 久しぶりの現場でしたが、意外と体が覚えていて驚きました。
今回は、元墨出し屋として、この仕事のリアルを書いてみます。
墨出し屋は朝が異常に早い
職人全般そうですが、特に墨出し屋は朝が早いです。「早出(はやで)」という文化があるからです。普通の建築現場は朝8時から朝礼ですが、墨出し屋は5〜6時から始めることがあります。
コンクリート打設後の現場では、一斉に次の工程の準備が始まります。墨出し屋が出した基準線をもとに、大工・鉄筋屋・設備屋・電気屋・サッシ屋など、あらゆる職種が動きます。墨がないと他業者が動けないのです。
墨出しが必要な職種
だから8時スタートでは間に合わない。先に入って基準を出しておく必要があるのです。
ポイント:仕事が終われば帰れる。でも終わらなければ何時になっても帰れない。完全に実力主義の世界です。慣れた人はサッと終わらせて午前に帰り、さらに別現場へ掛け持ちで1.5〜2日分稼ぐ人もいました。
給料の変化——未経験から親方まで
私の給与の変遷はこんな感じです。
※ 地域・会社によって大きく異なります。東京近郊の目安です。
駆け出し時代の悔しさと成長
最初はかなり辛かったです。体力的な辛さよりも、「仕事ができない」ことが一番きつかった。
墨出し屋をやってよかった4つのこと
この仕事で得たもの
寝坊で留年しかけた高校時代から、40歳の今はほぼ寝坊なし
毎日違う現場。ナビなしで東京近郊を走れるように
監督・鳶・左官屋…毎日違う人と話す世界
ひどいアトピーが、環境の変化とともに改善(※個人の感想です)
向いている人・向いていない人
▼ 大変なこと
- 🌅朝5〜6時スタート
- ☀️夏は暑く冬は極寒
- 😤クセの強い人間関係
- 🤧体調不良でも休めない時も
- ⚠️ヤバい会社や社長もいる
▼ こんな人は向いている
- ✅実力で評価されたい人
- ✅早く終われば帰りたい人
- ✅人付き合いが得意な人
- ✅いろんな現場を見たい人
- ✅未経験でも手に職をつけたい人
墨出し屋はAI時代でもなくならない
久しぶりに現場へ行って思いました。AIでかなり楽にはなると思います。でも完全になくなることは考えにくい。理由はシンプルで、
建築現場は、毎回ぜんぶ違う。
大きさ・形・条件・納まり——完全に同じ現場は存在しない。だから完全自動化は難しい。最後は人が現場で動いて合わせる仕事。そこはしばらく変わらない気がしています。
まとめ
墨出し屋は、正直きつい仕事です。朝も早い。夏は暑い。冬は寒い。人間関係もラクではない。
でも私は、この仕事をやってよかったと思っています。朝に強くなった。道に詳しくなった。いろいろな人と出会えた。そして何より、「実力で評価される世界」を経験できました。
10年ぶりに現場へ戻って、改めてそう思いました。
久々のアルバイト、早出早上がりで16時には家に着きました。
いつもの工場勤務の仕事では18時過ぎくらいの帰宅で、平日は夜ご飯はひとりで食べます。 でもこの日は、家族の夜ご飯の時間に間に合いました。
「みんなと楽しい夕飯を過ごせた。」
早起きしてサッと仕事を終わらせる——そういう働き方が、こんなところにもつながっているんだなと思いました。